stand by me ドラえもん2の感想
皆様はドラえもんに対してどれほどの思い入れがあるだろうか。
僕は小学生の頃から好きで、映画は全て見たし、てんとう虫コミックスの漫画もコンビニで総集編みたいになってる奴も買っていた。
19歳くらいの頭おかしくなった時期にはAbemaやらアマプラやらネトフリやらで全作品を少なくとも5回わは見た。
好きな作品は正直見た回数も覚えてないが一日中垂れ流して夕陽が来るのを待った。
年越し蕎麦をすすりながら鉄人兵団を見たのも覚えている。
昔の知識人が漢籍や聖書を諳んじ引用するように、過剰な反芻を繰り返して今の僕の血肉になっている。
見た時間や量がそのまま思い入れに繋がるかと言うと、そうでは無いのは分かっている。
しかし、普通の人よりは確実に見ている。
僕はドラえもんおじさんだ。
このまま死んだら「ドラえもんおじさん」と戒名や墓碑銘に刻まれる程には愛している自信がある。
また、公平中立な立場でスタンドバイミードラえもんを語れる自信が無いので、あくまでこれは人肉を食べた経験のある人のカニバリズムをテーマにした作品への批評と同じ温度で読んでもらいたい。
「佐川一政の人肉映画カーニバル」って見開きの雑誌掲載されてる様を思い浮かべた。
実話BUNKAタブーあたりで連載して欲しい。
ここまで何周も映画を見ていても嫌いな作品がある。
勿論全てが名作とは言えないが、駄作と言われてる作品にも好きな所はあって、それを覆すほどの嫌悪感を2012年の「奇跡の島」という作品は持っている。
元々そんなに面白くない上に、原作に出てくる台詞が引用されてて、是見よがしですげーウザい。
(次作2013年の「ひみつ道具博物館」は名作)
それ以上にスタンドバイミードラえもんが嫌いだ。
あれでルドヴィコ療法されたら狂う。
山崎貴監督と言えば、ジュブナイルがある。
この機会に見直したが、ジュブナイルとして見れば、ノスタルジックな映画として見ればまあまあ良かった。(リアルタイムでないにしろ小さい頃見たから嫌いになれないのもある)
ただ、テトラ(登場するロボット)が自分が何者なのかを言えずにショートしかけて、もう少しでHAL9000みたいになる分水嶺のようなシーンがあった。
テトラ=ドラえもんに当てはめてしまうとこれは解釈違いなんだよなぁ。
食卓を囲むしトイレも行くし喧嘩もするしドラえもんには、人間と変わらない存在であって欲しい。
見てる側が彼をロボットである事を意識するのは、海底鬼岩城で海に入る時に皆にテキオー灯を使うのを忘れ「人間は不便だなぁ」と漏らしたり、ブリキの迷宮やロボット王国でロボットである事が主題になったりと精々その程度であって欲しい。
ロボットの負の面、ロボットである事に苦しむドラえもんは見たくない。
なんか劇画オバQみたいになるから。
(勿論、テトラ=ドラえもんでは無いのは分かっている)
しかし、だからこそスタンドバイミードラえもんに出てくる成し遂げプログラム、あれに嫌悪を覚える。
まず、見て引いた。
これを大衆が見て受け入れている事に。
あれだけの興行収入ならリピーターも居るだろうけどあの描写があってリピートするのって何考えてるんだろうな。
パッションとか震える舌の部類じゃん。
2000人の狂人に囲まれれば即ち常人は狂人なり。
俺がおかしいのかもしれない。
あとデザインがキモいって感想をよく見るが動くとそうでも無い。
しかし、所々リアルになってるせいで、漫画より漫画的な信じられない演出のギャグ描写が浮いてて酷く陳腐に見える。
と、当時は劇場で見れなかったスタンドバイミードラえもんに関して思う所もあって、鬼滅とコロナがここまで流行ってる中、前作に比べて興行収入も微妙だろうから見てやろうと思い続編の2を見た。
(Go toキャンペーンってなんで今まで普通に受け入れられてたんだろうな)
最初の方は普通に面白かった。
いっちょ前に道具封じして来るやん!ってなったし、これからやる話が大体分かって前作より話運びが良かった。
タイムマシンを使った話は魔界大冒険とかドラえもんだらけに負けてないと思う。
現代に帰るまでは期待して見てた。
古臭い中学生が出てくるところ、バカリズムが出てくる所から絶対要らない。
子供時代に戻ってきた大人ののび太がドラえもんから卒業する話かと思ってそれだったら我々ドラおじにぶっ刺さってたから高評価してたと思う。
期待外れ。
予告見た時に思ったけど「おばあちゃんの思い出」の話のオチを結婚に持っていくのが強引過ぎる。
CGの質感とかは好きだけど、縮尺が変に思えた。リメンバーミーとあんまり変わらない感じなんだけどやはり漫画やアニメでドラえもんを知っているから違和感があるのだろう。
漫画なら一瞬で済むことをオーバーリアクションの演技みたいにいちいち動きを付けるので、音声と動きが噛み合ってないちぐはぐなオープンワールドゲームをやっている感じだった。
そもそも「ドラえもん」が抱える問題だが、時代設定がよく分からない。
あんな中学生は今時居ないし、野良犬も東京に居ないだろう。
サザエさんが醸し出すローテクで不思議な世界が侵食している感じだった。
以下小ネタ。
のび太と静香の結婚式に宇宙基地みたいな所からZoom出演する出木杉。
自分の職場をあんな露骨に見せ付けるのは寧ろ、あの世界の出木杉転落人生歩んでて、糊塗する為にやってるんじゃないかと思った。
宇多丸さんのラジオで指摘されてた企業の偏り問題(TOYOTAばっかでディストピアみたい)は解決されてた。
最後にジャイ子がのび太と静香の絵を少女漫画風に描いていてあのシーンはニセコイの小野寺を思い出した。
「ジャイ子を忘れてないよ」と製作者に言われた気分。
大人と子供ののび太に言うドラえもんの「自分同士で争うなよ」って台詞はドラえもんだらけネタだと思う。
小ネタは割と詰まっててあとは出木杉とジャイ子のシーンだけが見所。
正直、一般の観客が泣けるようなシーンは減っていたし、ドラおじに刺さるシーンも無かった。
わさドラが宗教上の理由で見れない方達のために字幕版を導入したらどうだろうか。
ドラ泣き出来る人数が増えるぞ。